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防風林ナビ木を枯らす方法(巻き枯らし方法)>環状剥皮とは
 林業で間伐に木を枯らせる「巻き枯らし」。農業等で樹勢を衰えさせるために利用される「環状剥皮」は、単に形成層を破断させたことで直接起きる影響であるというものではありません。
 行う木の種類。処理を行う位置。処理面積などで、その与える影響の大きさや現れる現象のメカニズムが異なります。

・環状剥皮(かんじょうはくひ)

・環状剥皮とは
 木の幹や枝の表皮に切り込みを入れ、外皮と内皮と形成層を一周に渡りぐるりと剥がすことを環状剥皮といいます。
 農業では、この方法を利用し樹勢を低下させることで生理摘果の抑制等により果実数の増加させることで収量を増やしたり、より多くの養分を果実に蓄えるよう促し品質の向上に利用します。また、不要な徒長枝等の抑制など木自体の調整にも利用されるなど、根切りの代用としても用いられます。
 林業では、巻き枯らし間伐として不要な木を枯らせる間伐作業に利用されます。

針葉樹と広葉樹 の違い
 杉やヒノキに代表される針葉樹と、広葉樹では幹の中の水の通り道の作りが大きく異なるため、環状剥皮を行った時の影響にも違いが現れます。

・針葉樹
 表皮直下には仮道管と呼ばれる組織があり、根から吸収した水が通り全体に行き渡ります。この仮道管は幹内部全体(繊維全体)がその役割を担っており、表皮に近い部分(辺材)ほど仮道管が活発に活動し、幹の中心部(心材)に近くなるほど活動は少なくなります。

・広葉樹
 表皮直下には道管と呼ばわる組織から根から吸収した水が通り全体に行き渡ります。
 この道管は、水の通り道として役割を専門に担っており、その分布は広葉樹の中でも木の種類により異なります。

環状剥皮による共通の影響
 外皮と形成層が破たんすることにより、木の種類(針葉樹・広葉樹)を問わず葉で光合成された養分や成長ホルモンの循環が阻害されます。
 これにより最も影響を受けるのが木の根です。養分等が循環しないことにより、まず根の成長が大きく衰えます。植物本体の樹勢低下等の影響は、主に根の生長阻害により2次的な影響が現れたものです。

・環状剥皮による木の水分に与える影響
 環状剥皮により表皮と形成層を破断させても、根から吸収した水分が通る道管(仮道管)は別の個所にあるためこれを破断することは出来ません。
 このため根から供給される水分を直接断つことは出来ません。
 しかし、針葉樹では環状剥皮を行うことで仮道管が存在する幹(辺材)を暴露(外気等に曝す)することができます。
 特に仮道管の活動が活発な表皮直下にある辺材外周部を暴露することで乾燥することにより、直接及び、圧力変化(内圧の変化による水分の気化作用)による空洞現象によって通導障害が発生し水の供給を断つことが出来ます。
 この圧力変化による気化現象による空洞化をキャビテーションといいます。
 これらの働きにより、水の供給については暴露する面積によって二次的に発生する影響であり、その影響は環状剥皮を行う面積に大きく関係します。
 また、活動が少ないとはいえ幹の中心部(心材及びその周辺)でも仮道管が活動しています。このため、環状剥皮を行っても水の供給を完全に断つということは出来ません。
 水の供給量が減った結果、木の生命維持に必要な水分供給がなされていれば、影響は樹勢が低下するにとどまります。しかし、木の生命維持に必要な水の供給量に満たなければ環状剥皮を行った先(上部)は水不足によりいずれ枯れます。


・環状剥皮を行う面積
 農業等で環状剥皮を行う場合、期待する効果(得られる結果)によりその面積が重要となります。
 通常の利用で樹勢を衰えさせることが目的である場合、幹(枝)の直径に対する比率(長径の20%の幅等)として目安が記載されています。
 多くの植物で、環状剥皮の幅が極端に狭いと木の治癒力により形成層等が再生されるため、影響は一時的な樹勢低下に留まります。


環状剥皮による巻き枯らしとは
 当サイトでも木を枯らす方法として主に紹介している巻き枯らし方法は、
 ① 表皮をぐるりと一周剥ぐことで形成層破断による木の根の枯死による作用。
 ② 表皮を大きく剥ぐ(20~30cm程度)ことにより根からの水分供給の減少による影響。
 ①と②が複合的に作用するこで、木を枯らしています。これを応用することで、意図的に根の生命活動を残して根元からとなる大きな倒木を予防する。※
 現在の大きくなった幹のみを枯らせ、側枝等を伸ばすことで新たな幹を作るなどを行うことが出来ます。※

 なお、②の剥ぐ面積は直径20~30cm程度の幹に対する幅であり、幹の太さに応じて剥ぐ面積を増やす必要があります。また、水分供給を断つことでのみで上部が枯れることを期待する場合、直径の約3~4倍以上の幅で剥ぐことが必要。と言われてます。(聞いたことがあります。)

 ※ここで意図的に根や側枝を育てる方法は、あくまで理屈上の話です。
 実際に行うと、大きな幹が枯死した影響で根元や環状剥皮の下から生える側枝まで病気が入る等してなかなか上手くいきません。
 私個人の経験から伐採等により除去した部分の葉や幹の太さの3分の1以上ある側枝を残さないと、枯死した箇所から侵入した病気等で全体に影響が広がると思われます。
 また、木の種類による生命力。土壌の具合。木の樹勢の強さ。日差しの当たり具合等、様々な要素が関わり、その結果がでるのが数年も先となるためやってみないとどうなるか分かりません。

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