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- チルホール等の手動ウインチを使う際に必要となるその他資機材と、その取扱いの注意点。使用する資機材の目安についてです。使用方法は「チルホールの使い方(作業編)」を参考にして下さい。
・チルホール、その他のウインチ等の使用上の注意
重量物の取扱は非常に危険です。また、それを固定するワイヤー等の資機材についても非常に大きな力がかかるため大変危険です。使用の際は、チルホール等のウインチの取扱説明書を必ずよく確認して下さい。
また、初めて使用する際は軽い物等をけん引するなど練習を行う。玉掛け等のワイヤー取扱いの熟練者等に使用方法や危険事項を習う等して万全の体制で行うことが望ましいです。
・必要資機材
・チルホール本体(T-7)
・チル専用の作業バー
・専用ワイヤー(口径8.4ミリ×20メートル)
・専用グリス(汎用リチウムグリスでも可)
・チル本体の固定に使用する玉かけ用又は台付けワイヤー
・牽引物を固定する玉かけ用ワイヤー(又は、スリング)
・滑車(方向を変える等の必要がある場合)
・チル以外の手動ウインチ
牽引距離が短い場合、安価な手動ウインチがあります。
チルホール等が1台 4万~16万円に対して、1~2m程度の牽引距離であれば、牽引能力1~2トンの物が2~4千円程度でホームセンターで販売されています。
ウィンチに使用する資機材
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・チルホール本体
作業前に変形、ボルトの緩み等がないか外観点検を行います。
作業前と後にグリスを差します。
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・安全ピン
過負荷がかかった時にねじ切れることで作用する安全ピンです。
亀裂や変形がないか確認します。 -
・チル専用の作業バー
劣化によるヒビ。歪みがないか確認します。
作業バーを差し込み伸ばした状態です。
突起に合わせて差し込み、半回転させると抜けなくなります。 -
・チルホールT-7 専用ワイヤー
口径8.4ミリ×20メートルの専用ワイヤー。
使用するチルの種類により口径が異なります。必ず使用機種専用のワイヤーを使用します。
ワイヤーに、錆、キンク(詰まりや戻りによる変形)、潰れ、うねり、ストランドの落ち込みや浮き等の異常がないか点検します。ワイヤーは使用するごとに徐々に摩耗等により細くなります。取扱説明書の基準以下の口径になっても使用できません。 -
・チルホール本体の固定に使用するワイヤー
使用するワイヤーは、作業する荷重又は、チルホールの牽引能力何れかの2倍以上となるものを使用します。牽引能力の2倍で安全ピンが作動するため。
作業する荷重に関係なく準備する場合、チルホールの能力。又はチルホールの専用ワイヤーの口径を基準に判断します。
チル専用ワイヤー8.4ミリに対して、写真は口径9ミリ×5メートルの玉かけワイヤー。
一本(単線)では、能力不足だけでなく作業時にワイヤーによるねじれが懸念されます。固定台座に半かけ(ワイヤーロープを台座に一回りして両端ともにフックにかける方法)で使用することで強度を確保します。※ -
・牽引物を固定する玉かけ用ワイヤー
牽引方法や形状等により、スリングや、ワイヤーを準備します。写真は口径5ミリの玉掛けワイヤー。牽引物の重量が解る場合、その荷重を元に必要本数を使用します。
荷重+ロス等。衝撃を考慮した余裕をもった耐荷重とします。明らかな重量物であり、荷重が不明でである場合は固定に使用するワイヤー同様にチルホールの能力の2倍以上の強度となるようにします。 -
・牽引物を固定するナイロンスリング
幅25mm(耐荷重800kg)のナイロンスリングです。牽引物に傷をつけたくない。油汚れををつけたくない時に使用します。
油脂による腐食の懸念があるため、保管の際はワイヤー類と別に保管します。 -
・ロープ
口径12mmのロープです。扱いやすく台付け。牽引等幅広く使用します。
牽引距離の制限があるパワー(ハンド)ウィンチ等の長さの調整等の便利です。 -
・滑車
チルホールによる牽引する方向を変える時に使用します。滑車部分は、チルによる牽引と荷重双方の非常に大きな力がかかります。
方向を変える角度が大きいほど大きな力がかり、最大で2倍+@(摩擦損失等5%)となります。荷重の2倍以上の能力がある滑車が望ましいです。
(チルホールの能力を基準とするとかなり高価な上、大きて重い滑車が必要となります。) -
・パワー(ハンド)ウィンチ
ホームセンター等で広く販売されている手動式ハンドウィンチです。
パワーも1トン。又は2トンタイプで能力の不足がなく安価に入手できます。ワイヤーを巻き取れる1~2.5メートル程度の範囲しか牽引できません。 -
・番線用牽引ウィンチ(ハルー)
ワイヤー等を牽引することができる手動ウィンチです。ワイヤー等を挟みこむクランプ(カムラー)を付けており、ワイヤー挟み込んで押さえて直接牽引することができます。
ハンドウィンチ同様、牽引距離はワイヤーを巻き取れる範囲に限られます。
写真に写るのは、株式会社永木精機の商品名「ハルー」と「カムラ―」です。
・ワイヤー強度の計算方法
基本 口径2乗 ÷ 20※口径9ミリの場合
81(口径9の2乗) ÷ 20 = 4.05t
この数字に作業毎の安全係数。抵抗及び張力が含を除外する必要があります。また、ワイヤーの種類。腐食や損傷度合いも含まれるため、安全に使用できる荷重はストレートの状態で横引き1t。吊り上げで約0.675t程度です。
今回は半かけ使用による損失30%(10%~30%ぐらいかな?)よって、約1.0t(0.675t×2×(1.00-0.30))程度となります。チルホールのワイヤー口径8.4ミリのため、十分使用できるという理屈です。半かけ損失を30%で見ているのは、ワイヤーが5mと長く、長さに対する固定台座の大きさでの振れ幅が30%以内に収まるとしていいます。
9ミリの半かけで1.5tの荷重を安全に使用できるという理屈ではありませんので、注意して下さい。
また、腐食や損傷と書いていますが、点検により異常ない範囲で「新品状態ではない」という意味です。目に見える破断(20%以上)や錆があるものは使用できません。
あくまで750kgの作業の範囲。万が一の過負荷で1500kgで安全装置が働くという前提での準備です。
安全装置のないハンドウィンチでは、使用者が過負荷とならないように判断することが重要です。また、過負荷状態(使用限界表示)を識別できるナイロンスリングを用いるとより安全に作業できます。
・玉掛け用ワイヤーと台付けワイヤーについて
市販されているワイヤーには、玉掛け用と台付け用があります。玉掛け用ワイヤーには安全のため法規制による構造規制があります。台付け用ワイヤーを玉掛けに使用することは出来ません。用途が定まらずに吊り上げに使用する可能性がある場合は、必ず玉掛け用を準備します。
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